千三つ(せんみつ) 2018 5 13
書名 サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい
人生100年時代の個人M&A入門
著者 三戸 政和 講談社+α新書
その通りだと思います。
新規事業が成功する可能性は、
1000件のうち3件程度ぐらいだと言われています。
ましてや個人がゼロからスタートする起業は、
成功する可能性が、「千三つ」かもしれません。
だからこそ、著者は、
「300万円で小さな会社を買いなさい」と主張します。
会社を買うというのは、大それた話に聞こえますが、
今、日本企業で、特に中小企業で深刻な悩みになっているのは、
後継者がいないということです。
つまり、「事業継承」という問題が起こっているのです。
このような問題を解決するために、
経験豊富なサラリーマンが、
小さな会社を買うことは、社会的にも必要とされるところです。
ただし、昔は、「マッチング」の問題がありました。
「結婚したいけれど、出会う機会がない」という状況に対して、
最近は、結婚紹介サービスというものがありますが、
「サラリーマン」と「事業継承に悩む企業」との出会いを
仲介するサービスも必要でしょう。
さて、「千三つ」とは、かつて不動産業界の隠語だったと思われますが、
今は、新規事業の難しさを比喩する言葉になっています。
著者が指摘するように、
起業とは、会社を作ることではありません。
事業を作ることです。
会社を作ることは誰でもできます。
今では、資本金1円で会社を作ることができます。
しかし、それは、起業ではありません。
本当の起業とは、誰もが想像しなかったサービスや商品を「創造」して、
そういうサービスや商品を市場に浸透させて、
なおかつ、その事業を安定的に軌道に乗せることです。
つまり、起業家とは、
「創造」と「営業」と「マーケティング」と「経営(資金繰り)」を
全部一人でやらなければならないのです。
中小企業の場合は、経営というよりも、資金繰りが重要です。
もちろん、社会の発展には、起業家が必要です。
1000人に3人は、起業の才能があるはずです。
しかし、日本社会の文化や雰囲気が起業を困難にしているのです。
日本では、事業に失敗すると、失敗者や日陰者のように扱われますが、
「事業に失敗したこと」こそが、
社会にとって貴重な財産であるべきだと著者は主張します。
天才的な起業家は存在しません。
誰もが失敗しながら、成功するのです。
夢は実現するのです。
しかし、夢は、99.9%実現しません。
たいていの人が、その日のうちに夢を忘れるのです。
3日もたてば、99.9%の人が夢を忘れるのです。
10年も20年も夢を思い続ける人は、0.1%です。
もちろん、夢が実現するには、協力者が出てくることが必要です。
最初の協力者は、妻や夫、友人、知人でしょう。
夫婦二人で始めた事業は、大きく成功することはないでしょうが、
失敗することも少ないでしょう。
友人や知人が、その事業に魅力を感じて参加(協力)するようになると、
事業という歯車は、少しずつ回り始めます。